いい ちいさな ものづくり
京都丹後から届ける、特別なひときれ。柔らかに人生に寄り添う、PARANOMADのテキスタイルプロダクト
ー作り手
京都の最北部に位置する丹後地域をベースとしながら、国内の織物産地とつながり企画制作を行うPARANOMAD(パラノマド)さん。オーダーカーテン、オーダーテキスタイル、クッションカバー、パネル、トートバッグ、スローケット、ストールなど暮らしにまつわる様々な作品を手掛けられています。
丹後ちりめんの産地として知られる場所で、大切に使われてきた織機・受け継がれてきた技術・オープンに移住者を迎えてくれた職人たちと共に生み出しているテキスタイルです。PARANOMADのテキスタイルを通して、織物の魅力に触れていただきたいと思っています。
私たちが普段何気なく身につけ楽しんでいる織物は、長い歴史と職人の技術によって支えられています。丹後の織物の歴史は古く、1300年ほど前から絹織物を生産していたという記録が残っており、江戸時代になると丹後の代表的な織物である『丹後ちりめん』が誕生しました。さらに、日本で生産される絹織物の約70%を丹後が生産しているとも言われています。そんな織物の一大産地で培われた技術と豊かな歴史とPARANOMADさんのアイデアが掛け合わさり、朗らかで気持ちの良い作品たちが生まれています。
PARANOMADの作品の魅力は多様な表情です。色彩、質感、風合い…繊細な糸から構成される織物ならではのみずみずしい表現がぎゅっと詰め込まれています。その秘密は、1点1点への手しごとのこだわり。
刷毛によるグラデーション染め、ニードルパンチ加工を使ったフェルト加工など、ほとんどのプロダクトが1点ものの仕上がりです。
デザイナー自らが織機の前に立ち、染めの作業も行って、日々新しい表現に挑戦しています。トートバッグのカラーリングも1点ずつ変えています。
PARANOMADは「色も、図案も、質感さえも。ゼロからデザインする本当のオーダーカーテンを届けたい」という想いから生まれたテキスタイルブランド。制作工程を機械任せにするのではなくご自身の感性を常に働かせ、まさに『世界に一つ』を生み出しているのです。
ーものがたり
以前、都会でインテリアコーディネーターとしてカーテンの提案・販売を行っていました。空間に布がかかると見違えるように変化することを経験し、またオーダーカーテンにもっと選択肢があったらいいのにと思い、自社ブランドの立ち上げを決めました。
空間の印象や気分を大きく左右するカーテン。布の力を実感した経験をもとにオーダーカーテンの制作、ブランド立ち上げに動き始めます。オリジナルのテキスタイルをつくるために織物産地とつながり、職人さんたちと一緒にものづくりをしたいとの想いから知人の紹介によって丹後へ移住。そして『日本の素晴らしい織物』に出会い、さらにその制作過程の美しさに衝撃を受けたそうです。
まだ国内にたくさんの織物工場があり、世界のメゾンが注目するテキスタイルが生み出されていること、その営みの風景がとても美しいこと、自分自身が布の成り立ちを知らなかったことにも衝撃を受けました。これほど身近な製品がどこでどうやって出来ているのか知らなかったのです。
織物が作られる工程を実際に見て構造を理解し、職人さんたちとの共通言語を得たいと考え、町立の織物訓練所で講習を受けられたそうです。移住してから約7年、デザインを行うだけでなく自らも織り手の1人としてブランドを運営するまでに至りました。
ー想い
産地の情報発信や魅力を伝えるプロジェクトにも参加するようになりました。パラノマドという自社ブランドを通して丹後の、ひいては日本の織物に貢献していきたいと思っています。
日本国内に素晴らしい織物の産地があること、そして日本の織物が世界に認められるほど上質であることをもっと多くの人に知ってもらいテキスタイルの可能性を広げようと、ライターとしての活動や様々なプロジェクトにも参加されています。
丹後の作り手が日本各地の織物産地を訪ねて交流し、織物の新しい価値をひらく活動『ひらく織』。海外のクリエイターと共創する『TANGO CREATION PRATFORM』。ご自身のブランド活動にとどまらず、織物の未来をつくり、織物の世界の豊かさを伝えているのです。
「パラノマド」はデザイナー自身のニックネーム「パラ」と「窓」を組み合わせた名前です。テキスタイルが暮らしに寄りそう存在となり 人生を一緒に旅するようにと願い「nomad(ノマド)=遊牧民」とも掛け合わせています。
思い出のハンカチ、お気に入りのワンピース、初めて買ったバッグ…誰しもが暮らしや人生の中に大切にしているテキスタイルがあるのではないでしょうか。テキスタイルは私たちの生活に欠かせないものであり、気持ちを明るくしたり落ち着けてくれる存在です。PARANOMADさんの作品たちは一つとして同じものはなく、その一点一点が『暮らしに寄りそう存在となり、人生を一緒に旅するように』と願いが込められています。
繊細な織りと柔らかな色合いから生まれる、あなたのための一点を探してみてはいかがでしょうか。
2022年1月13日