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「 朝 」
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「 舟歌 」
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「 鏡 」
怒りが輝き始める
わたしの魂はヴェネツィアのように
迷路を行く舟 赤い糸に縛られた
行き先を知らぬ心
――「虹」
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寒の入りとともに訪れた
あんなに渦巻いていた風が 夕暮れどきにおさまった
人間たちの 朝と夜
太陽は昇って 役所のような南の廊下を過ぎると
吐息とともに波の向こうへ
霧の幕をかぶせるように
人間の時間は ふたつに分かれていて
光と闇しか見ていない
風は 闇に光の尾をひき
光に 闇の記憶をしたためる
いのちがはじめて 息をしたときも
それは既に旅の途上で
何億年も いっときも止まることなく
雨と雲と ターコイズの瞬きを
カンバスいっぱいに描きながら
あなたと私の あいだを
すべてを知り すべてに触れ
つめたくもなく あたたかくもなく
夕凪ぎの跡を 月蝕のかげを
花のにおいでいっぱいに染めて
私のいのちを包み はこんでいく
――「冬の風」
*B6判(128×182ミリ)/42頁/並製
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