ラッコの貝（ペアセット）

廃棄される窓ガラスを回収して素材とした器です。

何年も前の話ですが、
廃棄される農業用温室や、住む人が続かず廃屋となる民家など、身近なところから「このガラス使えない？」と声を掛けられることが何度かありました。
私が普段使う材料は工芸用に作られたガラスなので、窓ガラスと一緒に溶かすことはできません。
また、出自のわからないガラス同士を混ぜて溶かせない上に、削るには硬く加工しずらいので、工芸材料としては扱いにくいです。
「そういうガラスは工芸には使えないなあ」とその時は応えました。
そう言ってしまった自分がとても嫌で、どんな物質にもそれぞれ特性があり美徳がある、と思っているはずだった自身の言行不一致ぶりを恥ずかしく思いました。
それ以来、少しずつ廃棄物を集めて洗浄・分類し、それらを使った試作を作っています。

デザイナーでもなく工場の職人でもなく、自分ひとりで少ロットの制作をするスタイルだからこそ、自分の手の届く範囲から集めた素材を分類し洗浄し、材料に採り入れることは可能です。
世界中から選り抜きの材料を取り寄せて作ることも素敵ですが、そこらへんに転がっているものから特別な物を作ることができたなら、それはとても素敵なことだと私は思います。

まだまだ試行錯誤の途中ですが、今回は可愛いのが２つ出来たので出品します。
これは、ガラス板に模様を筆で描いて、それをガラス板で挟んで焼き溶かして一枚の板を作っています。（模様が間に挟まっている状態）
その板を曲げて小皿にしました。
形はフリーハンドで削って作っています。ラッコのたべもの。

サイズ（だいたい）
1
径φ 12cm
高さ 3cm
2
径φ 12cm
高さ 2.5cm

２つセットでの販売です。