いい ちいさな ものづくり
奥山硝子工房 ー日差しにきらりと輝いて。夏を彩る、ガラスのうつわ。
手に取ると「何を入れようかな?」と想像を膨らませてくれるグラスや器。「奥山硝子工房」の森智広さんが吹きガラスで作る作品を見ていると、鮮やかな色ときらめく箔の美しさ、ふんわりと優しい形に引き込まれます。その魅力を紐解きながら、夏のテーブルを彩る作品をご紹介します。
カナダにて、ガラスとの運命的な出会い。
26歳の頃、ワーキングホリデーでカナダに1年間滞在していました。最後の1ヶ月、モントリオールやケベックを巡る旅の途中に、偶然吹きガラス工房に出会いました。なにをやっているんだろう?ぐらいの第一印象でしたが、その後も頭から離れませんでした。そして気がつくとカナダの友人に「日本に戻ったらガラス職人になる」と話していました。
カナダへ渡る前は半導体の工場で働きながら、海外へ行って英語を話せるようになる!という目標を掲げて、勉強をしてビザを取りました。やりたいと思ったことは、まずは言葉にしてきたなぁと思います。
ガラスに一途に15年、夢だったガラス工房をオープン。
日本に帰国して早速、未経験でも雇ってくれるガラス工房を探し回り、小樽の工房へ入りました。当時はガラス工芸のガの字も分からなかったのに、始めた頃から絶対独立する!という想いを持っていました。
小樽、新潟、富山といくつかの工房で修行を重ね、15年目の昨年、同じくガラス職人の妻と共にガラス工房を構えました。工房のある静岡県浜松市の奥山は、山に囲まれた自然豊かな場所です。様々なガラス制作体験をしていただけるので、ぜひ気軽に遊びに来てくださいね。
作品に自由な創造と、想像を。
制作するときは「使いやすいもの」を心がけています。作る前にコンセプトやイメージを固めることはほとんどなく、自分の直感と感性で形を作っていきます。写真は制作の中でも好きな瞬間で、形作る前の赤く溶けた肉厚のガラスです。とても綺麗なんですよ。
作品の裏には自身の名前ではなく「Imagine」と彫っています。使う方にも自由に想像して欲しいという想いを込めています。
▼星空のように深くきらめく「紺青星空」の小鉢
森さんの代表作「紺青星空」シリーズは、銀箔を使った技法で作られています。深い青色の中に銀色がきらめく外側はまるで星空のよう。内側を覗いてみると、描き出された模様が紫陽花のようにも見えます。口径が約12cmあるので、熱湯を使わない夏の冷抹茶も美味しくいただけそうですね。
▼クリームソーダやフロートにも。まぁるいステムのワイングラス
ステムの黄色に心が弾むワイングラス。ほのかな丸みが手のひらに馴染んで持ちやすく、重心が下にあるので安定感があります。ワインだけでなく、炭酸水に氷とフルーツを浮かべたり、クリームソーダやコーヒーフロートにもぴったりです。お家での休憩時間も、贅沢なひとときに。
▼夏の午後、波音が聞こえてきそうな水面グラス
光を通すとキラキラと反射するminamoグラス。落ちる影の美しさもガラス作品の魅力のひとつですが、このグラスが作る影はまるで水面のよう。爽やかな青色のグラデーションときらめきは、太陽に輝く海辺を思い起こさせます。夏の午後、見つめていたら波の音が聞こえてきそうですね。
▼お家でパフェにしませんか?夢膨らむ、デザートカップ
丸い持ち手がチャーミングなデザートカップは、パフェかな、アイスもいいな、それともプリンアラモード?と、お腹が鳴ってしまいそうな夢が膨らみます。カップの部分には大きな揺らぎのある模様が入り、柔らかで涼しげなうつわです。
「やめようと思ったことは何度もあります」と言葉少なに語りながらも、運命的な出会いを経て、ひたむきにガラスと向き合う森さん。その作品には、思わず見惚れてしまう多彩な色や箔を用いたガラスの美しさと、使いやすい形を追求する、日々の鍛錬が詰まっています。夏を彩る涼やかな器との出会いを、どうぞお楽しみください。
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2024年6月14日